東日本版「ごんぶと」と西日本版「ごんぶと」
先日の出張で手に入れた西日本版の「ごんぶときつね」と近所のスーパーで買ってきた東関東版の「ごんぶときつね」を食べ較べた。まずはパッケージだ。この両者を明確に見分ける方法はどんぶり側の成分表の横に書かれている”W”と”E”だ。これは赤いきつねのときにも書いたことがある。ふたの写真を見るとうどんの配置から別々に撮っていることがわかった。さらによく注意するとスープの色にも違いがあり、E版に較べてW版は茶色が薄いことが見て取れる。
スープ 中を開けてみよう。うどん自体には違いはないようだが、粉末スープのパッケージに書かれている文字の色が違った。E版は赤、W版は青になっている。それぞれの成分表を書き写しておこう。
【関東版】
食塩、醤油、調味料(アミノ酸等)、糖類、かつおエキス、貝エキス、粉末昆布、動植物油、香料、甘味料(ステビア)
【関西版】
食塩、かつおエキス、調味料(アミノ酸等)、糖類、醤油、昆布エキス、煮干エキス、卵粉、肉エキス、蛋白加水分解物、動植物油、香料、甘味料(ステビア)
「赤いきつね」にもE版、W版に違いが見られたが、「ごんぶと」における違いは驚かされる。注目すべきはW版のみに含まれる煮干しエキスだ。関東では煮干しのダシはあまりメジャーではない。また昆布ダシだが、E版が粉末昆布というものを使っているのに対して、W版は昆布からエキスとして抽出したものを利用している。そのほかE版のみの貝エキス、W版のみの卵粉、肉エキスもスープに大きな違いを与えていると思われ、食べる前から期待させてくれる。
作り方には全く違いはない。ただし、おれは生タイプ麺を食べるときは湯切りを3回はすることにしている。はじめの2回で表面の油をよく洗い流し、3回目でヌメリを取るのだ。ここまでやると、うどんがポチャポチャしてかなりおいしくなる。見た目に「さっきまで袋の中で固まってました」というごつごつした感じが取れて、うどんの1本1本が真っ直ぐでモチモチになればいい。ラーメンではコシのある「ラ王」でも、手際よくやらないとのびてしまうので注意が必要だ。
粉末スープは粉末の時点で、すでに色が違う。E版に見慣れているので、W版の明るく黄色がかった粉末に驚いた。
完成品を見比べよう。W版に入ったネギはアサツキ、ワケギ、万能ネギなどといわれる小さくて細いネギなのに対して、E版は大きなネギ。関東の者にしてみれば「普通のネギ」なんだが、なんて言ったらいいかよくわからない。ここまでこだわりを見せて作っている日進の開発の人、スゴイぞ。
さて、味の方だ。ますはアゲだ。スープを含んで味が変わってしまう前に食べ較べておこう。どちらも甘いダシで煮た油揚げで味に違いはない。アゲには違いはないのだ。
E版の「ごんぶと」であっても、関東の駅の立ち食いなどに較べるとかなり醤油を押さえてダシ中心の作り方をしている。おれはこれが気に入っているのだ。そのためE版とW版にそれほど違いがないのではと思っていた。ところが食べてみると明確に違う。W版「ごんぶと」はまさしく西日本の味と香り。醤油が押さえられている分、甘みとダシが強く感じられる。昆布ダシが消えかけた頃に感じる煮干のダシも絶妙だ。うまい。E版「ごんぶと」もうまいのだが、W版とどっちを取ると言われると、おれは迷わずW版を選ぶ。